筋肉を作るには筋トレだけでなくタンパク質を摂ることも肝心。だからといって、たくさん摂ればよいというものではありません。タンパク質の極端な過剰摂取にはどのような影響が考えられるのでしょうか。
タンパク質と体の関係
タンパク質が筋肉を作りたいときや強化したいときに欠かせない栄養素であることはよく知られていますよね。しかし、実際に体内ではどのような働きをしているのでしょうか?
厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015」によれば、一日あたりのタンパク質平均必要量は成人男性で50g、成人女性で40gと定義されています。可能であれば成人男性は60g、成人女性は50g摂ることが推奨されています。また妊娠中の方、成長期の子どもなどでは必要な摂取量が異なります。
タンパク質が不足してしまうと病気になりやすくなる、成長期に十分な成長が望めなくなるといった可能性が考えられます。逆に摂りすぎると、消費しきれないエネルギーで太ってしまうことも。
タンパク質の働き
私たちの体のなかには、約3~10万種のタンパク質が存在するといわれています。そして非常に多くのタンパク質が、それぞれ独自の働きをしています。
体を動かすことはもちろん、栄養や酸素の運搬や免疫機能を保ち、私たちの体を守る働きもあります。
このように体の構造・機能の維持や、体内で触媒や酵素になるものもあり、その働きは多様です。
筋肉を作るメカニズム
タンパク質が十分に体のなかにあるときに運動などで筋肉を刺激すると、筋肉の組織にタンパク質が吸収されやすくなります。そうするとタンパク質の合成が促進され、筋肉が発達しやすくなります。タンパク質を取り込み筋肉がつくられる作用を「同化作用(アナボリック)」と呼びます。
体のなかに十分なタンパク質がない場合、同化作用(アナボリック)を起こすために必要なタンパク質を確保しにくくなります。その際に必須アミノ酸やBCAAの一種であるロイシンを摂取することは筋肉を合成するために効果的です。これらのアミノ酸を摂取することは筋タンパク質の合成を刺激し、同化作用を促すことが最新の研究で分かっています。
タンパク質を摂り過ぎてしまうと
摂取したタンパク質は、体内で合成と分解を繰り返します。その過程において、食事から摂ったタンパク質のうち余った(過剰な)ものは分解されて窒素となります。
窒素を体外に排泄するためには、肝臓・腎臓の働きが必要です。体内の分解過程で必要なくなった窒素はアンモニアに変わります。アンモニアは私たちの体にとって有害な物質であるため、肝臓で無害な尿素に変換されたのちに腎臓で尿として排出されます。
このときにタンパク質を過剰に摂取してしまうと、その分多くの窒素を尿に変換しなければならなくなります。そのため肝臓や腎臓にかかる負担が普段よりも大きくなり、内臓疲労を引き起こしてしまう可能性があるのです。
どうしても不足しがちなタンパク質。必要な栄養素ではありますが、過剰な摂取は体への大きな負担を強いてしまい、逆効果になる可能性も。
しかしタンパク質の必要量は個人によってさまざまです。それぞれの運動量、生活強度によって積極的なタンパク質の摂取が大いに手助けになってくれるでしょう。
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