【ナイアシンの効果】
2024/09/13

【ナイアシンの効果】

ナイアシンは水溶性ビタミンB群の一つで、ニコチン酸とニコチンアミドの総称です。さらに、アミノ酸の一つになります。

ナイアシンの吸収と働き

生鮮食品中では、ナイアシンは、主にピリジンヌクレオチド(NAD、NADP)の形で存在しますが、食品を調理・加工する際に分解され、動物性食品ではニコチンアミド、植物性食品ではニコチン酸になります。生野菜や刺身など生の細胞を食べる食品の場合は、ピリジンヌクレオチドは消化管内で分解されてニコチンアミドになります。ニコチンアミドやニコチン酸は小腸から吸収されます。食品により分解率や吸収率が異なりますが、日本で一般的に食べられている食事中のナイアシンの利用効率は約60%と推定されています。

 ニコチン酸やニコチンアミドは、体内でピリジンヌクレオチドに生合成された後、脱水素酵素の補酵素として糖質、脂質、タンパク質の代謝、エネルギー産生に関与しています。また、補酵素として、脂肪酸やステロイドホルモンの生合成、ATP産生、DNAの修復や合成、細胞分化など、幅広い反応に関与しています。

1日の摂取基準量

ナイアシンはエネルギーの代謝に関与するビタミンであるため、推定平均必要量はエネルギー1,000kcalに対し4.8mgとして算出されています。半数の人が必要を満たすと推定されるこの推定平均必要量に推奨量算定係数の1.2を掛けた値が、推奨量となり、約97.5%の人が必要量を満たすと考えられる量になります。1日に必要なナイアシンの量(推奨量)は、表1のとおり18~49歳男性では15mgNE、50~74歳男性では14mgNE、75歳以上では13mgNEで、18~29歳女性で11mgNE、30~49歳女性で12mgNE、50~74歳女性では11mgNE、75歳以上の女性で10mgNEとなっています。

 ナイアシンは水溶性ビタミンですが、ニコチンアミドは1型糖尿病の治療薬として、ニコチン酸は脂質異常症(高脂血症)の治療薬として使われることがありますが、大量摂取した際に、副作用として、消化不良、重篤な下痢、便秘、肝機能低下、劇症肝炎など、消化器系や肝臓に障害が生じた例が報告されています。そのため、耐容上限量は、18~29歳男性では300mgNE、30~64歳男性では350mgNE、65歳以上で300mgNEです。18歳以上の女性では、250mgNEと設定されています。

ナイアシンが不足してしまうと

ナイアシンが欠乏すると、赤い発疹ができる皮膚症状、口舌炎や下痢などの消化管症状、神経障害の三つがあげられます。

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